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酉年 初稽古

皆様 明けましておめでとうございます。松尾塾伝統芸能は初めての新年を迎えました。

俳句の季語にもある初稽古。新年を向かえ、気持ち新たに稽古に励もうと集まった塾生に向かって、塾長先生から今年の抱負が発表されました。それは・・・「今年の夏に控えた発表会を成功させる。出来ないこと、苦手なことがあってもあきらめない。」です。しかも、「発表会」という言葉を今後使わず、「松尾塾伝統芸能 第一回公演」と呼ぶことになりました。塾長先生のこの言葉に込めた思いに、みんなの気持ちが引き締まりました。

さて、初稽古の最初は狂言でした。清々しい稽古場に、塾生のきりっと引き締まった声が響きわたります。その佇まいからは風格や自信など、今までにない雰囲気が感じられ眩しいほどでした。

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しかし、いつもきめ細かくアドバイスをくださる中村先生は、少しの表現の違いも見逃しません。

 

塾生   「いづく迄も 参りましょう。」

中村先生 「前回も思いましたが、何時の間にか“参りましょう”の部分で声を張り上げるようになってしまいましたね。ここは、“いづく迄も”の方をよりテンション高く言わなくちゃいけない」

塾生(先ほどと同じ調子で)「いづく迄も 参りましょう。」

中村先生 「その調子では、この次の主人の台詞で “それならば伯父御(おじご)のお振舞いは うそ(強調して)”が、言えなくなってしまう。太郎冠者が“いづく迄も”と盛り上げるから、次の言葉が出るんだよ。」

(中略)

塾生   「しさりおれ。」

中村先生 「これも難しいですね。私にとっても難しいところ。しさり“おれ”のところはもう少し落ち着いて言ってみてください。」

新春にふさわしく、今回は黒紋付をお召しの中村先生。塾生の良いところを引き出そうと、年齢や体格の違う塾生に合わせて声の調子ややり方を変えてくださり、試行錯誤しながら教えてくださいました。エネルギーに満ち溢れた稽古をありがとうございました。

最後には今年の干支の酉にちなんだ楽しい稽古も!今週、宝生能楽堂行われる「野村狂言座」で、中村先生は「鶏聟(にわとりむこ)」にご出演予定なのですが、その鶏の所作も教えていただきました。今年はこの所作が松尾塾で流行りそうです!

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続いての日本舞踊は花柳輔瑞佳先生、美輝風先生お二人で初稽古をつけていただきました。お辞儀からすり足、扇の開閉方法、「菊づくし」を最初から最後まで通しで踊り、まさにこれまでの総復習の稽古になりました。

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花柳輔瑞佳先生は、「体が大分ぶれなくなったね。では、次の目標としてお膝をちゃんと折ることにしてみよう」と、さらに高い目標を設定されました。あと、10センチ、あと15センチ下に曲げられるように、お二人の先生方の激が飛びます。全身の力をふりしぼった塾生達は、踊った後顔が真っ赤になりました。だんだん持久力をつけていきたいですね。

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鳴物の稽古は年末の昼食会にも来てくださった藤舎朱音先生がご担当でした。松尾塾伝統芸能では塾生全員、先生方お一人ずつに心をこめて年賀状を出したのですが、なんと先生からお返事の賀状を頂戴しました。「今年も 楽しく、げんきいっぱい、集中してお稽古しましょう!8月の発表会たのしみです!」温かなメッセージが添えられていました。fullsizerender-1

朱音先生、ありがとうございました!

初稽古は、昨年から取り組んでいる「雛鶴三番叟」。以前習った「地(じ)」と呼ばれる部分と「クセ」と呼ばれる部分をつなぐところを今回教えていただいたため、長く叩けるようになってきました。しかし、その分バチさばきが乱れてくるという現象がおこってきました。脇を締めず、肘をあげ、上から叩くように、美しい姿を崩さないことが今後の課題として残りました。

最後の長唄は主任講師である東音塚原勝利先生が来てくださいました。初稽古では、今までと違い、唄と三味線に分かれて、一緒に演奏してみるという初めての試みでした。これから発表を見据えたお稽古になりますね。低学年の塾生は体が小さい分、三味線を構えることも一苦労ですが、この4ヶ月の成長を思えば大きな一歩だったのであきらめずに頑張って欲しいです。

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公演まで7ヶ月。これからの成長が本当に楽しみな初稽古になりました。今年も頑張りましょう!