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第19回松尾芸能賞


大賞 演劇 中村雀右衛門 いまや歌舞伎女形を代表する俳優として、数多くの舞台を勤め、そのすぐれた技巧に裏打ちされた華麗な演技には定評がある。先輩格の立役の相手役に選ばれてその才能を磨きあげるとともに幅広く役を身につけ、古風な中に新しい感覚を生かして爛熟の芸風を確立し、舞台の上で後輩の立役を育てあげる指導的立場にもあり、歌舞伎界の振興と発展のためにはなくてはならない貴重な存在である。
優秀賞 演劇 市村正親 ミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」のアルパン(芸名ザザ)および、「スクルージ」のスクルージ役において、初演時より明確なる飛躍を示した。のびのびとした演技、役にふさわしい歌唱、そして風格の大きさを持つ点に注目された。確実な成長をたどり、今後のミュージカルへの期待を寄せるに十分な実力をみせた。
優秀賞 演劇 茂山千之丞 上方の狂言の伝統を、兄・茂山千作と共に支え、自らの豊かな資質を磨きあげ、長年にわたりすぐれた舞台成果を挙げている。古典における的確な表現はもちろんのこと、新劇「夕鶴」の”与ひょう”の役を500回以上も勤めるなど、ジャンルの違う世界でも活躍、さらに自らの会における新作狂言、あるいは、和泉流との異流公演にも取り組み、その幅広い活躍が極めて顕著である。
優秀賞 邦楽 鶴賀喜代寿 新内の演奏家として、このところ活動が目覚ましい。自己のリサイタルでは独自の古典・創作・舞踊の構想で意欲的に開催。定評ある創作では落語を素材に佳作「応挙の幽霊」発表、芸術祭賞。新内の世界に大きな刺激を与えている。又、昨年開催の第30回鶴賀喜代寿の会では、古典「鬼怒川物語・累身売りの段」で日頃の研鑚を示し充実した成果をあげる。
*喜代寿の「喜」は七が3つ
新人賞 舞踊 花柳基 若手日本舞踊家として優れた資質に恵まれ、たゆまぬ研鑽を重ねて縦横に活躍。実力抜群の存在であり、広く信頼されている。花柳流初代・二代家元による振付作品の伝承にも成果をあげており、平成9年度は「小鍛冶」に力を発揮した。
新人賞 邦楽 中村明一 平成9年秋には根笹派錦風流の曲のみのリサイタルを成功させるなど、虚無僧尺八とその精神世界に深い理解を持ち、超絶的な演奏技法によって現代の人々が共感する芸術へとよみがえらせている。さらにそれを土台に芸術的な音楽から民謡、ジャズ、フュージョンなどの作曲や演奏に国内的にも国際的にも幅広く活動している。
新人賞 歌謡 河合美智子(オーロラ輝子) 近年の演歌歌謡曲不振の中で、NHKドラマ「ふたりっ子」のオーロラ輝子役として「夫婦みち」を歌唱し大ヒットさせる等大きな活躍をし、今後の日本の歌謡芸能の振興と発展のために寄せる期待は大きい。
特別賞 演劇 戸部銀作 昭和37年歌舞伎座の天明歌舞伎復活「大商蛭子島」を演出第一作に、以後古典の補綴、復活の脚本と演出で、あるいは猿之助のスーパー歌舞伎全作品に関わってきた。平成9年度は、1月国立劇場「壇浦兜軍記」から、12月同劇場「蜘蛛の拍子舞」、歌舞伎座「酒井の太鼓」まで数多くの舞台に関与して大きな貢献を果たした。
特別賞 歌謡 水木かおる 永年にわたり歌謡界の作詞家として活躍され、特に「アカシアの雨がやむとき」「くちなしの花」「みちづれ」等の大ヒット曲は、日本の歌謡史に燦然と残る名作となり、我が国の歌謡芸能の振興と発展に尽力してきた功績は顕著である。
研修助成賞 演劇 演劇集団 円 円・こどもステージ 企画/岸田今日子。長年にわたり子供たちに、生きる事のすばらしさ、尊さや社会における義務や責任を演劇を通じて訴えてきた。一流の作家、詩人、音楽家に作品を委嘱し、夢と希望に満ちた詩情豊かな舞台は、演劇集団 円 の演劇に向かう真摯な姿勢と、子供たちへの深い愛情に満ち、第16回公演「…あらしのよるに」は優れた舞台である。