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特訓 締太鼓

今回の稽古場NEWSでは、「鳴物」についてご紹介したいと思います。「鳴物」は一般的に打楽器を指し、歌舞伎では三味線以外の楽器全般や演奏そのものを指しますが、松尾塾伝統芸能では、藤舎千穂先生をはじめ、3名の先生方に小鼓(こつづみ)と締太鼓を教えていただいています。

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熱心に教えてくださった藤舎清穂先生

「雛鶴三番叟」の締太鼓の部分を一通り教わり、これから上達目指してという段階に来ている塾生ですが、今回ご指導くださった藤舎清穂先生には細かいところをしっかり教えていただきました。「このままではいけない」と稽古場に居た誰しもが反省したことでしょう。備忘録も兼ね、記したいと思います。

 

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【藤舎清穂先生語録】

・今まで稽古を重ねてきましたが、ばちで遊んでみたり、お話しが聞けなかったりと、残念ながらきちんと出来ていない人がいる。真剣に取り組んでもらいたい

・楽器は演奏者にとって、とても大切なものなので、基本が出来ていない人には楽器を使う資格はない。基本が出来るまで練習台での稽古となる

・ばちを握る手の肘は下へ落とさない。構えの姿勢が出来ていない

・太鼓との距離をしっかりと取り、美しい姿勢を保つこと。何度注意しても太鼓を近づける人がいる。そのせいで、肘が曲がり、姿勢が悪くなる。肘が落ちると、ばちの側面が太鼓のフチにあたり、塗りがはげてしまう。まずは道具(楽器)を大切に使うことをしっかりと身につけること

・叩いた後、ばちの先を目の高さに上げる動作をはじめ、“かつぎばち”など、言われている動作が出来ているかどうか、今一度自分で確認して欲しい

・「(長唄)そでをかえして~」の”太鼓地(たいこじ)”の始め(たんたんたんと始まる)の部分は、優しく叩く。音量の差をつけるところをキチンと理解して叩く。力まかせに叩いてはいけない

・左右の手を迷わない。集団で叩いた時、見た目が揃っていて綺麗かどうかも意識して叩く

・「♪(♪=唱歌)ひゃいとろ~」の「クセ」の部分を大きく叩かない。ここは力づくに打つのではなく、心をこめて、大切に優しく打つ

・「♪ちん ちーん しゃん」の後の「♪すってんてれつくてん つくつ てんてん」は打ち出しがすべて右から。ここで迷うから、全員の動作が揃っておらず汚く見える原因になっている

・「♪ちりれん つるてん つつ」の「つつ」は左、右、としっかり弱くする。ここで「つつ」の前で手を大きくあげてしまうと音が大きくなってしまう。ただダラダラと打つのではなく、しっかり音量の差に気をつけ、先生が言ったことをもっと真剣に聞いて理解してもらいたい

・「♪ちりれん つるてん つつ」の「てん つ つ」は、このパターンが出てきたら「右左右」となるパターンが多いので気をつける

・「♪ちりれん つるてん つつ」の後の「よい」の掛け声が出ていない。他の掛け声のところも声が出ていない箇所があるので、しっかり出す

・『お囃子』とは三味線、唄についているもの。これから三味線と合わせる時がくると思うが、基本となっている三味線のリズムに逆らわないことが大切になってくる。一緒に演奏する場合は、三味線をしっかり聞いて合わせること

・一人で叩くとちゃんと打てている人が多いが、全員で打つと雑になり、早くなる傾向がある。落ち着いて打つことを心がけて欲しい

・練習台の中央に〇が書いてあると思うが、この〇は太鼓の中心にある〇だと思って、そこにばちが当たるように気をつけること。太鼓の〇は打つと中身がつまった良い音がするように作られているので練習台の時から意識して欲しい

・50分という稽古時間は意外と時間が経つのが早い。もっと集中力をもって稽古にむかって欲しい

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低学年の塾生にとっては、はじめての厳しい稽古だったのではないでしょうか。しかし、芸の道は厳しいもの。昨年度で28年の幕を閉じた、松尾塾伝統芸能の前身である松尾塾子供歌舞伎のプログラムには、この言葉が常に刻まれていましたので、最後にご紹介いたします。

 

“芸”

この言葉には

底知れぬ怖さと厳しさがある。

夢幻の最高峰をめざして

努力という杖を力に日夜練磨して進む

「死ぬまで勉強」というのが

“芸”の真髄である

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