暑い日も数日つづいては雨が降り、夏の気配がしてきましたがお稽古場には春のような景色がひろがりました。
朝一番に大きな箱が届き、何か新しいことが起きる予感に塾生は興味津々でした。中身が日本舞踊の小道具だということを知り、今日から使わせていただけるのか、どのようなものなのかとますます期待を膨らませていました。花柳輔瑞佳先生から大切に使うようにご指導をいただき、緊張感も持った状態で桜の枝を使ったお稽古に入ることができました。塾生にとっては桜の枝は長く、床にすらずに舞うことや真っ直ぐに持つことは難しいようでした。
つづいて花柳輔太朗先生から公演当日使用する笠の説明もしていただき、稽古用の笠を両手で持ち、お稽古をしました。先生方に笠の持ち方から一つ一つ丁寧にご指導していただきました。前回のお稽古ではからだや手の向きを注意されても理由を理解できていない様子の塾生たちでしたが今日、笠を使ったことで先生方のご指導の意図を実感することができたはずです。笠の持ち方や角度を少し直すだけでこんなにも美しく見えるように変わるということに『本当にきれい』と驚きの声があがりました。道具の取り扱いを学ぼうと他の人のお稽古の様子をしっかりと見学していたからこその気づきでした。
本番に近いお稽古をすることで新たな課題がでてきましたが、その時間の中で改善していこうと励む姿も多く見られました。学ぶ姿勢にも変化が出て、自分の芸をより磨こうという気力の高まるいい機会になりました。