今日は人間国宝である狂言師の野村万作先生が稽古をつけてくださる日でした。
「人間国宝」とは、その国の宝となる芸能の「わざ」をお持ちの方です。
万作先生が稽古に来られるとあって、稽古場には朝から一段と凛とした空気が漂いました。緊張していた塾生も万作先生の優しい雰囲気に少しほっとしながらも真剣に稽古にのぞみました。
その稽古の内容ですが、アドバイスの一つ一つがとても的確で、ためになるものでした。
初歩の段階である塾生にとり、今後芸を磨く道を歩む中でこれ以上ないくらい、本当に大切なものを教えてくださいました!
少しですがご紹介したいと思います。
【狂言の言葉の抑揚について】
・古典の、抑揚のあるおおらかな物の言い方、こういう事を勉強することに意義があります。
・言葉の抑揚・誇張は大勢の観客の方に古い日本語が良く分かるように言うためです。
・「誇張」とは一つの言葉を聴いている人に印象深く残すために、言葉をたっぷりひっぱって言うことです。
・表情豊かに、表現豊かに。
【狂言を学ぶときに大切なもの】
・大きな声、抑揚、(言葉の)伸び縮み、言葉のやりとりの間。言葉を生かすように。
・(台本を見ている塾生に向かって)私は3歳の時に初めて舞台に上がり、4歳で「痺」を覚えてやりました。字はまだ読めないから口から口へ教わります。大きな声を出すためには本は見ないほうが良いのです。本を見ていたら大きな声は出ない。姿勢を良くして、背筋を伸ばして、正式には扇を構えて、まっすぐ前を向いてやるものなのです。
きたる11月24日(木)、27日(日)に国立能楽堂で「万作を観る会」の公演を控えた万作先生は、稽古後ゆっくりされる間もなく稽古場を後にされました。先生がお帰りになってもなお、その存在の大きさの余韻が稽古場には残っていました。万作先生に直に教えていただいたことが、塾生達の芸の血や肉になることを願ってやみません。
お忙しい中、稽古をつけてくださった万作先生、本当にありがとうございました。松尾塾伝統芸能 一同、これからも精進いたします。
◎「万作を観る会」のご案内◎
2016.11.24(木) Open17:45 Start18:30
七回忌・野村万之助を偲んで-
2016.11.27(日) Open12:15 Start13:00
Open15:45 Start16:30
詳しくは 万作の会HPをご覧ください
http://www.mansaku.co.jp/