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第34回松尾芸能賞

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(左)優秀賞 市川猿之助さん (中央)新人賞 豊竹咲甫大夫さん (右)新人賞 新内剛士さん


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研修助成賞 スタスさん

大賞 舞踊 花柳壽輔 近年の傘寿公演「菅原草紙」などで、古典とレヴューを結合し大きな成果を上げた。また、戦後のコマ歌舞伎や東宝歌舞伎以来、日本の古典と西洋のモダンの要素とを合わせる手法により、古典舞踊や音楽を大衆の記憶に継ぎとめ、新たな発展を試みることに大きな功績を残した。一方、「茨木」のような大曲で芸格の大きな舞台も見せている。
優秀賞 演劇 市川猿之助 前名亀治郎として活躍してきたが、2012年に叔父が二代目市川猿翁と改名、その名跡を継いで四代目猿之助を襲名した。10年間続けてきた「亀治郎の会」のさよなら公演では積み重ねてきた技量を発揮し観客を感動の渦に巻き込んだ。立役・女形と領域を広げ、叔父である先代の当り役も受け継ぎ、四代目猿之助として積極的に活動している。
優秀賞 演劇 笠原章 近年「若獅子の会」の公演において、新国劇という近代演劇史で重要な側面を担った劇団の芸風を継承し展開している。「白野弁十郎」の40数年ぶりの通し上演に見るように、その演目群を残すこと自体も貴重であり、それに加え大正・昭和期の大衆の心情が実感できるのも大きい。演技面でも「無法松の一生」など進境著しいものがある。
優秀賞 演劇 コロッケ テレビ・舞台を通してものまね芸に顕著な功績を挙げ、ものまねを日本芸能の一ジャンルとして確立させた。また、オリジナルの喜劇にも挑み、日本人の笑いの探究にも積極的に取り組んでいる。2012年は福岡・博多座、大阪・新歌舞伎座、名古屋・中日劇場の各大劇場で座長公演を行い、商業演劇界に大きな活力と成果をもたらした。
優秀賞 邦楽 菊地悌子 箏合奏の低音域を補完する単純な楽器であった十七絃を魅力ある独奏楽器に仕立て上げ、愛奏することにより柔軟減の独奏曲が多く生まれ、演奏する箏奏者も増えた。2012年には、若手演奏家の協力も得て三夜にわたりそれらの曲を披露し、現代邦楽の発展に十七絃が果たしてきた功績と今後の可能性を示した。
優秀賞 演出 謝珠栄 1987年にTSミュージカルを設立すると共に全作品の演出・振付を手がけてきた。また、宝塚歌劇団の演出・振付、さらに新作「客家(はっか)」では、中国・漢民族の王族の末裔のスケールの大きな作品に仕上げ、13世紀中期のモンゴルとの戦いが展開された。意欲的な姿勢も評価される。
新人賞 文楽 豊竹咲甫太夫 文楽の次代を担う太夫として日頃の精進が実りつつある。2012年は「義経千本桜・椎の木の段」の奥を代演したのをはじめ、「傾城恋飛脚・新口村の段」の前をそれぞれ伸びやかな高低音と色気のある声で務め注目を集めた。近年、大役を務める機会が増える中、その期待に応える成果を挙げ今後の活躍が大いに期待される。
新人賞 邦楽 新内剛士 新内の演奏家として地道に修業を積み、期待される新進として注目されている。一方で東京藝術大学の博士課程に進み、演奏の修業ばかりではなく邦楽の研究に加え音楽学位(博士号)を取得した。2012年には、リサイタル「冨士の会」を開催して新内の可能性を問うなど、その活動は着実で将来が期待される。
特別賞 子供歌舞伎指導 北野勝彦 1999年より石川県小松市で公募した市内の小・中学生に地元ゆかりの「勧進帳」を指導し、毎年5月の全国子供歌舞伎フェスティバルin小松で上演され、大きな成果と反響を呼んでいる。また加能歌舞伎塾会長として、さらには、こまつ歌舞伎未来塾の歌舞伎教室も指導にあたり、歌舞伎を身近な芸能として市民に広く普及させてきた功績はきわめて大きい。
功労賞 演劇 湯川弘明 歌舞伎小道具方として半世紀以上にわたり活躍し、現場での地道な仕事を困難もいとわずこなしてきた実践面での大きな功績がある。また、文字化の難しい膨大な専門的で確実な知識を文章として残し語ることで、歌舞伎のみならず演劇文化全体の普及に努めてきた。古典から新作までの多大な知識と発想を持ち、余人をもって替え難い存在である。
研修助成賞 演劇 スタス 宝塚歌劇とともに日本のレビューを支えてきた松竹歌劇団(SKD)のレビュー停止・解散によって姿を消した東京レビューの伝統を1992年から継承、レビューの灯をともし続けるレビュー集団STAS。その足跡は20年に達して新世代も育ちつつあり、その努力と功績を高く評価したい。