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第9回松尾芸能賞


大賞 演劇 水谷良重 新派100年を迎えた丸1年間、劇団員一同と共に記念にふさわしい活力のある舞台を示した。リーダーの1人である水谷良重は、重責を荷って、花柳章太郎、母水谷八重子の当り役を継承し、とりわけて「佃の渡し」(新橋演舞場2月公演)のおきよ、お咲の二役、「京舞」(国立劇場12月公演)の片山春子などで、女優としての成長を示し、すぐれた演技で今後の新派に明るい希望をもたらした。
優秀賞 伝統芸能 豊竹呂太夫 「大功記-妙心寺」「夏祭-長町裏」等をはじめ、年間を通じ、それぞれの演奏において、詞章の解釈の深さによって、情けや景を的確に表現してよく曲趣を生かし、みごとな成果を挙げた。地道に精進を重ねた実力と才能の熟成を感じさせた。今後の活躍がいっそう期待される。
優秀賞 舞踊 吉村雄輝 上方の舞を代表する1人。吉村流四世家元、重要無形文化財保持者で、後進の育成にも力を盡している。関西における活躍はもとより、戦後早くから東上し、古典に、新作に、ひろく人々を魅了。邦楽界に活力をふきこんできた。近年さらに高い境地にあり、昨年の「珠取り海士」「浪花十二月」「綱」は特筆すべきものであった。
優秀賞 郷土芸能 浅野梅若 秋田民謡の三味線は、豪快な津軽三味線に対して、せん細でリズミカルな独特のスタイルをもっている。この秋田三味線のスタイルを創立したのが浅野梅若氏である。また、浅野氏は民謡を歌う多くのすぐれた歌手を育て、秋田民謡を盛んにした。
特別賞 伝統芸能 岡本文弥 江戸浄瑠璃のなかでも最も庶民的な味わいの濃い新内節の太夫として、すぐれた古典の発掘・伝承を行う一方、「今戸心中」「次郎吉ざんげ」など、近代文学作品の新内化に成功、独自の語り口と共に新内の内容を現代人の心に直接触れるものへと進めた。90歳を越える現在も芸力は衰えず、また日本文化交流にも大いに貢献している。
特別賞 邦楽 日本音楽集団 代表 長沢勝俊氏。昭和39年の結成以来、箏・三味線・尺八など日本楽器のみのアンサンブルとして、多くの現代作曲家の作品を演奏、日本楽器と現代音楽とのすぐれた結びつきによるいわゆる現代邦楽運動の中核をなし、すでに100回を越す定期演奏会に加えて、欧米およびアジアへの演奏旅行や、外国作曲家との交流を含め、全世界的な規模の活動を行っている。
新人賞 演劇 坂東橘太郎 子役の坂東うさぎ時代から修業に励み、タテの名手、故坂東八重之助さんに学んで、歌舞伎の立廻りにすぐれた才能を発揮している。タテのなかでもトンボは高度な技術を要求される部分があるが、いまそれを習得している数少ない1人であり、タテ師八重之助の後継者として将来を嘱望されている。歌舞伎の新進として大いに期待される。