2024年11月9日(土) 宝生能楽堂にて
自主公演「第3回伝統芸能をつなぐ 能を感じる」を開催しました。
◇お話 能を感じる
宝生流二十代宗家 宝生和英
解説 宝生流能楽師 田崎甫
◇ 乱
和久荘太郎
◇ 道成寺
宝生和英
日本の数ある伝統芸能の中でも『能』は、「難しそう」「高尚に感じる」といったイメージが強いかもしれません。しかし、能は五感で感じ贅沢な時間を過ごす楽しみもあります。能の決まり事や知識などの難しいことはさておき、「能楽堂」という静かな空間で、かすかな笛の音色や足の響きから想像を広げ、能の音を心と体で感じてもらいたいと思い公演を開催しました。
◇お話 能を感じる
宝生流二十代宗家 宝生和英 と 宝生流能楽師 田崎甫 によるお話
田崎甫さんがナビゲーターとなり宝生和英さんと対談形式で始まり、宝生和英さんにとって能とは何かをお話しいただきました。
対談の後は、能舞台や能楽師の足遣い 等、田崎甫さんによる分かりやすい解説で、初めて能を鑑賞するお客様の緊張が解きほぐされました。
これから上演する番組で注目してほしいところの説明を聞き期待が高まるなか、肩の力を抜いてリラックスし「さあ能を感じよう」という心の準備が整いました。
◇乱 みだれ
シテ 和久荘太郎
前場を省略した半能形式で上演しました。後半は特有の囃子のなかで舞う 『猩々 しょうじょう』 (想像上の動物)の舞が眼目です。
宝生流独特の足遣いで酔っ払った猩々が舞い戯れる様を表現した華麗な舞に心を射抜かれます。
◇道成寺 どうじょうじ
シテ 宝生和英
前半は能の静止の頂点といえる『乱拍子』から最もスピーディーな『急ノ舞』、そして『鐘入り』と、緊張感あふれる展開に釘付けです。
シテの白拍子が小鼓の掛け声と音色に合わせて足のつま先を上げ下げする乱拍子では、一緒に息を合わせて絶妙な間をドキドキする心地よい緊張感がありました。
後半は白拍子から蛇体となったシテと僧たちとの凄絶な戦いが圧巻です。シテ柱に巻き付き面を切る場面では息をのみました。
「乱」と「道成寺」、この2つの番組を一度に上演するのはとても珍しい番組構成であったと思います。
技術面を重視した番組を揃えたことで、能の初心者から日頃より能を嗜む上級者まで、お楽しみいただけたのであれば大変嬉しいです。
この公演をきっかけに「能を感じる心地良さ」を知り、ひとりでも多くの方が能の世界への一歩を踏み出し、日本を代表する伝統芸能「能」が広く人々につながることを願っています。
秋晴れの清々しい晴天のなか、多くのお客様にご来場いただきましたこと心より御礼申し上げます。
撮影 石田裕
協力 公益社団法人宝生会
主催 公益財団法人松尾芸能振興財団