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第44回松尾芸能賞

大賞 演劇 市村正親 1973年に劇団四季「イエス・キリスト=スーパースター」でのデビューから役者生活半世紀を迎えた。2022年10月には再演を重ねた「ミス・サイゴン」が上演905回の金字塔を打ち立てた。また、同年は自身の代表作であるミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」「スクルージ」の再演 等、演劇界を牽引し意欲的な活動は余人の追随を許さない。テレビドラマや映画 等と活動は多彩である。
優秀賞 文楽 吉田玉男 1968年、初代吉田玉男に入門。翌年、吉田玉女の名で初舞台以来、師匠の元で端正で繊細にして品格ある技量に加え、人柄から滲み出る芸格の大きさや華やかさを身につけてきた。2015年、二代目吉田玉男を襲名。時代物の立役を得意とし、芸容の立派さに加え迫力と凄味を感じさせる舞台は無類である。芸境には一つの道を貫いてきた人の持つ深みも出ており、時代を生き抜いた芸の華もある。
優秀賞 舞踊 山村友五郎 若くから上方舞山村流の代表として「八島」「歌右衛門狂乱」等の大曲に取り組んだ。能を上方舞に仕立てた「石橋」「善知鳥」を披露。硬質な舞と上方らしい地唄の声音が共鳴する優れた舞台を創造した。舞踊家である一方、宝塚歌劇団やOSK日本歌劇団の振付を担当。落語の「しらみ茶屋」をレビューに引用し非凡なセンスが目を引く。若手歌舞伎俳優の「あべの歌舞伎」では、稀な「肥後駒下駄」を見事に再生させた。
優秀賞 演劇 天海祐希 女優として映画、テレビ、舞台とジャンルを超えて活躍。野田秀樹や三谷幸喜 等、日本を代表する演出家の信頼も厚く繰り返しタッグを組み、話題作には欠かせない存在である。2022年は「広島ジャンゴ2022」と12年ぶりの続編となった劇団☆新感線の「薔薇とサムライ2 海賊女王の帰還」に出演。後者では歌、芝居、ダンスはもちろん颯爽とした立ち回りも見せ唯一無二の魅力を存分に発揮した。
優秀賞 演劇 尾上菊之助 2022年は国立劇場で立役の卒業論文といわれる「義経千本桜」の知盛、権太、忠信の三役に挑む一方、歌舞伎座の市川團十郎白猿襲名披露では「助六由縁江戸桜」の揚巻、「京鹿子娘二人道成寺」と女方の大役で出演。音羽屋の芸「鼠小僧次郎吉」「土蜘」と、播磨屋の芸「盛綱陣屋」をみごとに演じ歌舞伎界を牽引した。先輩に教えを請い新しい役柄に挑み成果を挙げてきた姿勢と努力は賞賛される。
優秀賞 歌謡 三山ひろし 2009年のデビュー曲「人恋酒場」が10万枚を超す大ヒットしゴールドディスク認定を受け、破格のスタートを切って以来、安心・安定感と活力を与える声の音色「ビタミンボイス」が愛され、毎年ヒット曲を連発。NHK紅白歌合戦に8年連続出場を決めている。ステージでは特技のけん玉を駆使しながら歌う技を披露し、タレント性も遺憾なく発揮。日本の歌謡曲界を牽引している功績は大きい。
新人賞 琉球音楽 田渕愛子 2022年11月、第3回琉球古典音楽独演会で古典のなかの古典ともいわれる大曲にして難曲の昔節「首里節」や大昔節「昔蝶節」等に水準の技量をよく発揮し、琉球歌三線の魅力と醍醐味を豊かに表現した。岡山県の出身で琉球方言には無縁で育ったが、琉球古典音楽安冨祖流の妙手 照喜名朝一(人間国宝)に師事し、稽古と精進により琉歌古典語の高度の音楽表現者たり得ること実証した。
功労賞 演芸 林家正楽 寄席の紙切り芸の第一人者。高校卒業後、会社員を経て二代目林家正楽に入門。1970年に初舞台を踏み、2000年に三代目林家正楽を襲名。「藤娘」「弁慶と義経」等、昔からある題材はもとより、その日観客が注文したお題をその場で切り抜く。野球ファンから「大谷翔平」、子供から「鬼滅の刃」というリクエストを見事に仕上げてしまう技は、寄席というライブの醍醐味で、老若男女を楽しませている。