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第42回松尾芸能賞

大賞 歌謡 八代亜紀 1971年のデビュー以来、50年の歌手活動の中で「なみだ恋」の初ヒットから続く「舟唄」「雨の慕情」等 多くの大ヒット曲を連発し、日本レコード大賞をはじめ幾多の受賞歴を誇る。従来の演歌、歌謡曲路線にブルースも加えたジャンルの拡張は、レコード、CDの総売上げが全女性歌手の歴代1位を記録する偉業である。その卓越した歌唱力と魅力的な歌声で歌謡界を牽引してきた功績は見事である。
優秀賞 落語・劇作家 小佐田定雄 主に上方落語の新作を260本以上書く落語作家。人気作「幽霊の辻」「貧乏神」は、東西問わず多くの落語家によって繰り返し高座にかけられている。また大蔵流・茂山千五郎家に新作狂言「さくらんぼ」等、9作品を提供。さらに、文楽「かみなり太鼓」歌舞伎「廓噺山名屋浦里」「心中月夜星野屋」等、浄瑠璃や歌舞伎台本も手掛け異彩を放つ。伝統芸能の幅広い分野を裏方として支えている。
優秀賞 邦楽 藤本昭子 九州系地歌の地歌演奏家。2001年に伝統音楽の継承と古典演奏の新たな可能性を追求する場として「地歌ライブ」を始め、2ヶ月に1回定期演奏会を開いてきた。着々と回を重ね100回達成は目前である。この20年間の並々ならぬ挑戦の結果、九州系地歌を中心に古典の芸術的価値を更に高め、広める成果をあげた。また自身の芸は、広い音域の声は安定し、三絃の音色も深みを増し、人々の共感を誘うものになった。
優秀賞 演劇 花總まり 1991年に宝塚歌劇団77期生で舞台デビュー。3年後、雪組トップ娘役に大抜擢されて以来、12年に及ぶトップの座についたのは宝塚歌劇団史上に前例がない。退団後、「マリー・アントワネット」等、気品に満ちた女王・王妃役でこれまでトップ男役出身者が中心的に演じていた役柄を先端切って開拓したことで演劇界に新風をもたらした。2020年、ニール・サイモンの喜劇「おかしな二人」のフローレンス役でコメディーに初挑戦して新境地を開いた。
優秀賞 演劇 藤田俊太郎 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科在学中にニナガワ・スタジオに入り、2005年から2015年まで蜷川幸雄演出作品に演出助手として関わった。2014年、ミュージカル「The Beautiful Game」を演出し一躍注目を浴びた。2020年は、ミュージカル「VIOLET」「NINE」、絢爛豪華祝祭音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」を演出。オリジナルを加えて、現代的で鮮烈な舞台を作り上げた。今後さらに幅を広げ、一層の活躍が期待される。
新人賞 演劇 中村米吉 五代目中村歌六の長男。女方の道を歩み2014年、新春浅草歌舞伎「一條大蔵譚」の常盤御前で名題昇進した。花形世代の新春浅草歌舞伎で「菅原伝授手習鑑 寺子屋」の戸浪、「仮名手本忠臣蔵 七段目」の遊女おかる 等、次々に古典の大役を演じて実力を発揮した。立役も勉強中で「仮名手本忠臣蔵 十一段目」の大星力弥 等で魅力を見せた。真面目で芸熱心、先輩の指導のもと常に楷書の芸を志し精進している。
特別賞 演劇(人形) 結城孫三郎 江戸糸あやつり人形劇を伝承する一座「結城座(国の無形民俗文化財・東京都の無形文化財)」の十二代目。2021年は結城座385年記念の年にあたる。名人、十代目の次男として生まれ、一体の人形に十本、二十本とつけられた糸を天板とともに巧みに遣う技を受け継ぐ。「冥途の飛脚 新口村」等、古典とともに新作「マクベス」等も手掛け、メーテルランクの「ぺレアスとメリザンド」を代表作にし、海外演出家による多彩な作品群も作った。
功労賞 演芸 沢村豊子 1950年代、ラジオ浪曲ドラマで一世を風靡した国友忠の相三味線、広沢虎造や二葉百合子 等、名立たる浪曲師の曲師を数多く勤め、浪曲の醍醐味を全国に発信し、浪曲界黄金期を現出するに力を尽くした。三味線音締めの良さは、音の響き音色の美しさをよく醸して、口演の節と啖呵に絶妙の色彩を添え、名曲師の評価を高くした。伝統的な浪花節に新生面を抜く積極姿勢も示し、今なお現役で輝き後進のかけがえのない師表となっている。