松尾塾伝統芸能の講師の先生方は大変ご活躍されており、いつもどこかで公演をなさっておられます。
今回の日本舞踊の稽古中も、日本舞踊の講師である花柳輔太朗先生が、『第60回記念日本舞踊協会公演』で、「三番叟」の演目にご出演でした(国立劇場大劇場:半蔵門)。
花柳美輝風先生が「みんなで輔太朗先生の公演が成功しますよう、みんなもお稽古を頑張りましょう!」と稽古の前にお話しされ、公演の時間になると「あ、ちょうど今、幕が開いたよ。」とリアルタイムで声をかけてくださいました。
しかし、塾生達の中には、舞台に立つということとはどういうことか、お客様に観ていただくという事の大変さをイメージできない人がほとんどでしょう。そんな塾生達に、今回の鳴物の稽古は、舞台で美しく見えるよう、どのように振舞えばよいか、所作を教えていただきました。
「心も体も集中。待っている間は静止して。待つ時は“ばち先”を広げすぎないように持ち、小指を膝につけます。」
「出番がきたら、スッと構える。構えるということは演奏することと同じこと。座っている腰を立て、少ない動きで。」
「演奏が終わっても体を動かさない。」
太鼓は、曲の間に打っていない箇所もある為(※太鼓は“叩く”といわず、“打つ”というそうです)、演奏していない時の構えなどが大変重要なのです。それは「作法」といってもおかしくないほどの、洗練された動きだと感じました。稽古をつけてくださった朱音先生は、打った後のばちの角度も細かく教えてくださいました。少しずつ上達していきたいですね。
そして先週に引き続き、狂言のご担当は中村修一先生でした。先生も昨日はさいたま市プラザノースで公演、お稽古当日も松尾塾のあとは国立能楽堂で本番があるという多忙な中お稽古を見てくださいました。
狂言も、公演に通じる基本を教わっています。前回から挑戦している狂言小謡「柳の下」の小舞を、最初から最後まで型を教えていただきました。
しかし、突然に小舞からは始まりません。みんなでしっかり「柳の下」を声出しておさらいしました。そこで先生から言われたのは、「メトロノーム的な均一なリズムではないように」と言うことでした。言葉の抑揚についている自然な伸び縮みを覚えると、小舞の型に謡いの経験が活きてくるそうです。
「ぐーーーーーっ すっ すとーーーーーん」
動きを溜めることにより、次の動きに躍動感が出るそうです。そのためには、舞台の床を足袋で掃除するくらいこすることがポイントだと教えてくださいました。
躍動感と静止した美しさ。日本伝統芸能の中に、「静」と「動」という美があることを感じた稽古でした。