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第35回松尾芸能賞

大賞 演劇 波乃久里子 平成25年で誕生から125周年を迎えた新派を2代目水谷八重子とともに支えてきた功績は大きい。女優として「婦系図」のお蔦、「日本橋」の清葉などの古典や、近年は「女の一生」「東京物語」に杉村春子が演じた現代劇の役々まで幅広く活躍し、独特な味、存在感は素晴らしいものである。初代八重子門下として芸にかける意欲と細部にわたる綿密な役づくりで劇団新派の牽引車としての重責を果たしている。
優秀賞 演劇 尾上松緑 昨年、歌舞伎座4月「忍夜恋曲者」将門にて大宅太郎光圀役、7月「加賀見山再岩藤」骨寄せの岩藤にて岩藤の霊と鳥井又助の二役、「東海道四谷怪談」の直助権兵衛、9月「新薄雪物語」詮議の幸崎伊賀守などで優れた演技を見せた。今後の更なる活躍が期待出来る。
優秀賞 邦楽 中川善雄 現代最高の笛の奏者である。長唄をはじめ非常に多くの舞台に出ているが、いつも良いタイミングでその場の情景にふさわしい音色、情感の表現など極めて魅力的な演奏をする。舞踊で中川氏の笛が鳴ると、踊りより目を引かれ一瞬にして魅了されるほどである。
優秀賞 演劇 渋谷天外 曾我廼家劇以来の上方喜劇としての松竹新喜劇を懸命に継承しようと一座をまとめている。今では他で見られない一堺漁人(曾我廼家五郎)や館直志(二代目渋谷天外)の作品を上演し続け、単に笑いだけでない上方喜劇の魅力を伝え続ける意味は大きい。昨年2月、新橋演舞場の「おやじの女」野沢半助役を好演した。65周年を迎えた松竹新喜劇に更なる活躍を期待したい。
優秀賞 舞踊歌謡 相原ひろ子 新舞踊の世界で圧倒的な人気を博し「舞踊歌謡の女王」といわれる。秋田民謡の出身であり、16歳で民謡歌手としてスタートしたが民謡のみならず端唄、長唄等を取込んだ純和風の舞踊歌謡で多くのファンを持つ。三味線を使った和の舞踊歌謡としても評価されている。新舞踊での人気曲は「新隅田川」「春雨情話」「おわら慕情」など数多い。新舞踊公演に相原氏の曲が登場しないケースはないと言っても過言ではない。
新人賞 歌謡 福田こうへい 民謡の日本一から歌謡界に転じ、昨年リリースした「南部蝉しぐれ」が10万枚超の大ヒットとなった。
カラオケ歌唱ランクの1位をキープし、1年を通して上位を保つパワーは圧巻である。歌謡界に新風を吹き込んだだけではなく、その声量と歌唱力はスケールが大きく久々に現れた大型新人であり、今後の活躍も期待できる。昨年のNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。
特別賞 音楽 ペギー葉山 昭和20年代より活躍を続け、しかも知名度も変らず高い貴重な存在である。
ジャズ、シャンソン、歌謡曲まで幅広い歌唱に加え、ミュージカルの舞台でも活躍してきた。昭和30年代、40年代と「ある時代」を強く実感させ、世代を超えて知られる歌を歌い続けてきたことを顕彰したい。
特別賞 舞台音楽 竹本朝輝 地方の地芝居、子供歌舞伎、人形芝居 等における浄瑠璃太夫としての存在価値は大きい。
日本各地で出演を続け、その心情深い語りと迫力のある声で観客に感動を与えてきた。現在、国立劇場の研修生を始め岐阜県揖斐川町などで義太夫を教え、次世代への伝承に力を注いでいる。
功労賞 演劇 中村小山三 歌舞伎界の最長老にとどまらず大向を沸かせる名物役者である。17代目中村勘三郎に入門、初舞台からすでに87年が過ぎた現在も歌舞伎座、明治座などの舞台を勤め、7月は「東海道四谷怪談」の宅悦女房おいろ、8月に「鏡獅子」の老女飛鳥で健在ぶりを示した。17代目勘三郎の門下として得た知識や芸を、18代目勘三郎をはじめとした多くの歌舞伎役者に繋げてきた功績は大きい。現役第一線で歌舞伎を支え永年の歌舞伎界への貢献を称えたい。