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第25回松尾芸能賞


大賞 演劇 仲代達矢 1954年の初舞台以来半世紀にわたって舞台、映画、テレビで活躍、日本を代表する俳優として数々の名演技を残す一方、1975年からは夫人の故宮崎恭子さんと無名塾を開き私費で多くの新人を養成してきた。2003年には無名塾公演としてマルシャーク作「森は生きている」をミュージカル化して演出、優れた舞台を創造した。
優秀賞 演劇 金田龍之介 「新・三国志 完結編」の司馬仲達、「サラ」の執事ピトゥにおける演技は、とりわけすぐれていた。長年に亘って培ってきた芸がいちだんと冴えて、舞台を引き締めながら、なお大きな存在感を示した。最近の充実を裏づけていたといえる。スーパー歌舞伎、一方では外国演劇と異なった様式を十分に演じこなしているのは練達の演技力である。
優秀賞 演劇 中村東蔵 歌舞伎の脇役として幅広い役柄を演じて、その実力の確かさを自在に、伸び伸びと示している。娘役・老け役・暴れの注進など、老若男女をいとわない。とりわけ「競伊勢物語」の小よしは大役だったが、春日村の田園に繰り広げられる悲劇を格調高く演じた。脇役沸底という状況のなかで、こうした活躍ぶりはまことに貴重だといえる。
優秀賞 演劇 池畑慎之介 「越路吹雪物語」では主人公の愛唱歌(シャンソン)を見事に唄い、「ジンジャー・ブレッドレディ」では酒乱の女を演じた。現代演劇の女性を女形で演じて異和はない。「阿国」の猪熊少将も存在感があった。幅広い役を演じ、そのいずれもが役柄に叶っているところに、俳優としての充実を実感させるものであったといえる。
優秀賞 邦楽 中島靖子 生田流の箏曲家として、つねに伝統の重みを感じさせるすぐれた演奏で人々の共感をよぶだけでなく、数々のユニークな作品を発表してきた。また正派音楽院の院長として箏曲の組織的な教育法を確立し、きわめて開放的な家元として、多くの優秀な演奏家を育てた。邦楽界の模範的なリーダーである。
新人賞 演劇 安蘭けい 2003年5月、日生劇場の宝塚星組公演「雨に唄えば」では、明るく軽快な演技と歌とダンスで無声映画時代のスター、ドンの役を魅力的に見せ、9~11月東京宝塚劇場の宝塚星組公演「王家に捧ぐ歌」では、敵国の将軍との恋を貫くエチオピアの王女アイーダの苦悩と強さをたくみに造型、劇の要になった。対照的な二役で優れた演技力を見せた。
新人賞 舞踊 西川箕乃助 日本舞踊の踊り手として昨年は「文売り」「戻駕」などを所演。特に11月歌舞伎座における「西川会」の古典の大曲「双面」の難役法界坊で蓄積された実力を遺憾なく示した。他にも「えんの会」(花柳茂香主宰)での創作舞踊、新歌舞伎「生きている小平次」にも挑戦、1年を通して充実した活動を示した。
特別賞 演劇 野村又三郎 狂言和泉流・野村派の当主として長年にわたり研鑽を重ね、名古屋を中心に精力的に活動。2003年「やるまい会」東京公演で齢八十にして自家の幻の狂言「狸腹鼓」を70数年振りに復活初演。その洒脱で自在な表現で観客を魅了した。
特別賞 音楽 只野通泰 宮城県より上京し、1944年日本大学芸術学部音楽科(作曲専攻)卒業、1945年1月朝鮮羅南第二部隊に入隊、以後前線に立ちシベリアで4年間抑留後、1949年に復員し、その後東京都文京区立第六中学校音楽科教諭となり、第22回毎日音楽コンクールヴァイオリンソナタ作曲部門入選を果たし、以後プロ活動に入る。テレビ、ラジオ、映画の主題歌や音楽を作り、編曲でも橋幸夫初期のヒット曲を数多く手がけ「星影のワルツ」「こまっちゃうナ」「他人船」「夢追い酒」等の編曲にも貢献をしている。現在80歳の高齢にもかかわらず現役の第一線音楽家として活躍をし、作品数三千余曲という膨大な作品を持ちこの間音楽界に与えた功績大と認めます。
特別賞 歌謡 八汐亜矢子 1967年週刊明星、松竹等で主催した朝日放送系ドラマ「亜矢子」を記念した全国コンテストで優勝し、「ミス亜矢子」を獲得。テイチクレコードより「霧の夜のデイト」「ゆうべ泣いちゃった」でデビューを果たし、30曲余りを発売後ポリドールに移籍。フジテレビ系「徳川の夫人たち」主題歌「女の園」を歌い、その後も東芝EMIより「あなた明日からもう他人」「他人宿」など数曲のヒット曲に恵まれる。2001年日本クラウンより発売された「銀婚式」が全国で歌唱され、ヒット敢闘賞を受賞。NHK「BS日本のうた」に出演するなど紆余曲折の歌謡界で35年の長きに渡る努力が開花した。人々に優しさを忘れぬ人柄からボランティア活動に貢献し海外でも広がりを見せている。