1. TOP
  2. 松尾芸能賞
  3. 第7回松尾芸能賞

第7回松尾芸能賞


大賞 演劇 市川團十郎 歌舞伎界の看板を背負って立ち、12代目團十郎襲名の長期興行をみごとに成功させた。この近代まれにみる大興行は一重に新團十郎の魅力に頼るところのものであるが、興行日程は厳しく、心身負担をはねのけながら意欲的にロングランをつとめ上げた。その間、空前の客足を劇場に引きつけ、歌舞伎の将来に強い自身と希望を回復したことは、まさに快挙というべきであろう。
優秀賞 映画・演劇 三田佳子 デビュー以来各分野に幅広い活躍をつづけてきた。昨今では主演女優としての役作りにも一層の慎重さと深みが感じとれる。最近の作品では、持前の華麗な雰囲気の中に、しみじみとした女の情感がにじむようになり、まさに大女優への成熟と実在感をうかがわせる。
優秀賞 伝統芸能 望月左吉 大鼓という地味な楽器を一筋に手がけ、非常に高い演奏の境地を築き上げている。とかくこの音楽形式では小鼓が表面に立つが、望月氏の大鼓は楽曲の構成全体を引きしめ、舞台全体にすばらしい緊迫感をかもしだす。この楽器に優れた演奏家が少ない今日、まさに貴重な存在である。
優秀賞 舞台美術 古賀宏一 大劇場の舞台装置の第一線で安定かつキメ細かい仕事を続けている。昨今の舞台では象徴的な作風も目立つが、あくまでも具象を守り、その精緻な美しさが、みごと「雪国」に結実した。今後、ますますいい仕事をしてもらいたい人である。
特別賞 演劇 片岡仁左衛門 伝統に立脚しながらも、絶えず歌舞伎の新生面を開く努力をつづけてきた。歌舞伎役者としての至宝的存在もさることながら「高校生のための歌舞伎教室」などの啓蒙活動を通じ、若い世代への理解と普及につくした功績は大である。
特別賞 伝統芸能 義太夫協会 会長 吉川英史氏。遠く江戸時代より、時節の難関をのりきりながら義太夫の伝統をめんめんと伝えてきた。近年古典芸能の持続が非常にむずかしい時代となったが、その理解と普及に「義太夫教室」はじめ、さまざまな活動を行い、後継者の育成につとめてきた。
新人賞 歌謡芸能 祭小春 その音色と声量には最近の歌手にないスケールの大きさを感じさせる。都はるみ以来の大型歌手として今後の活躍が期待できる。
研修助成賞 演劇 市川猿之助公演「義経千本桜」にからむタテの人々 猿之助公演の楽しさの大きな部分に貢献し、従来の歌舞伎の殺陣に新風を吹き込み、スピード感あふれる立ち廻りを見せた。
研修助成賞 郷土芸能 八王子車人形 西川古柳一座 郷土芸能の保存がますます困難になっている現代で、このように様式、技芸が完全に維持されているケースは少ない。加えて従来の演目に新しいものを加えて、若い世代にもつなげる創意工夫がなされている。