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大賞 | 演劇 | 藤山寛美 | 関西喜劇の伝統を一身にささえ、日夜たゆまぬ努力を傾け、庶民の納得いく舞台を追求してきた。ともすれば大衆の劇場離れが嘆かれるきょうこのごろ、この人の舞台だけは、夏枯れ知らずの勢いをつづけた。絶えず新しい時代の笑いのかたちをつかむことに心しつづけ、すぐれた”人間観察者”でもある藤山氏は、変動の激しい現代生活の中からつねに変わらぬ人情の機微を掘り起こし、それらに新しい意匠をこらして庶民の共感を呼ぶ魅力溢れる人物をつぎつぎに登場させた。 |
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優秀賞 | 演劇 | 澤村宗十郎 | 最近とくに女形としての円熟味を増してきた。「引窓」お早「幡随院長兵衛」お時「菊宴月白浪」のおかるなど、この人の持ち味で芝居の面白さが倍加する。また「太刀盗人」の田舎者の役など女形にめずらしい芸風をもっている。今後の活躍がますます期待される中堅。 |
優秀賞 | 演劇 | 一條久枝 | 新派の熟達したわき役として、なくてはならぬ存在である。さる2月の新橋演舞場「夢の女」同昨年6月「華岡清州の妻」の於澤、昨年12月歌舞伎座の「女人衰詞」のおもと役など、ますますそのもち味を深めつつある。 |
優秀賞 | 映画・演劇 | 北大路欣也 | 男性的な役柄に独自の個性を発揮し切れ味のいい演技力で、映画テレビ等にすぐれた作品をのこしつつある。 |
優秀賞 | 舞踊 | 高濱流光妙 | 高濱流の創立者として、古典に新しいいぶきを吹きこみ、調和のある独特の世界を作り出している。昨今では「雪の芭蕉」など振付の技量と優れた舞踊の技に切れ味をみせている。 |
優秀賞 | 邦楽 | 杵屋五三郎 | 現在、長唄三味線の最高の演奏家であるだけでなく、斯界で音楽的にもっとも信頼できる大家である。 |
新人賞 | 邦楽 | 深海さとみ | 久しぶりに現れた大型新人として注目をあびている。すぐれた感覚で現代及び古典を表現できる魅力に満ちた箏曲家である。 |
特別賞 | 邦楽 | 菊棚月清 | 地歌の伝統を追求しながら、後進を指導し、着実に演奏活動をつづける大家。とくに、分散、消滅の危機にひんしている地歌の古典・希歌に考証、研究を行い、それらを復活、保持する意欲は敬意に値いする。 |
特別賞 | 舞台技術 | 山本長之助 | 歌舞伎の世界を背負って立つ衣裳制作者。50有余年この道一筋に専念し、現在も衣裳受注の責任者として、その考証及び制作監督者として後進の指導に当たり、故実に精通している第一人者。 |
特別賞 | 大衆音楽 | ボニージャックス | 結成以来、健全で情操ゆたかな娯楽を提供しつづけた功績は大きい。その間の企画は、いずれも独創性に富み、常に新鮮なイメージを保ってきた。又、僻地の身体障害者を対象に車椅子コンサートをつづけ、多くの人達に励ましをつづけてきた。メンバーのこの人間的やさしさに対しても…。 |
功労賞 | 民謡 | 山崎栄二 | 民謡が今日のブームをかたち作る以前から、民族のうたを通じての”誠” ”和”を唱えてきた。実際に、本業の実業家としての役割と並行してこの分野に強く純粋な情熱を注いできており、民謡のマスメディアへの紹介、海外進出、国際交流などに蔭の功労者としてつくしてきた。 |