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第29回松尾芸能賞


受賞者の方々と松尾理事長

大賞の草笛光子さん

大賞 演劇 草笛光子 永年に亘って女優として活躍し、2007年にはNHK朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」の老舗旅館大女将役の実在感と存在感。二人芝居「6週間のダンスレッスン」再演でさらに老婦人役の優雅さと軽妙さが加わり、練りあげられて見事な熟成を示した。
優秀賞 演劇 中村芝雀 歌舞伎・女形として着実に精進し、進境著しく、堅実な成長を遂げた。2007年には「吃又」の又平女房おとくの情味豊かな演技、「昔語黄鳥墳-うぐいす塚-」の腰元・幾代のきびきびした演技ですぐれた女形芸を示し、舞台に充実度を加えた。
優秀賞 演劇 五大路子 早稲田小劇場を経て新国劇の花形女優として数々の名作に出演、またNHK朝の連続テレビ小説「いちばん星」で主役を演じ、テレビ、映画、舞台で活躍を続けてきたが、横浜で一人芝居「ある市井の徒」を上演したのを機に、生まれ故郷の横浜発の演劇作りを企画、1999年に演劇集団横浜夢座を結成し「横浜行進曲」「奇跡の歌姫」「横浜ローザ」などを上演し、地域文化の振興に大きく寄与した。
優秀賞 落語 桂歌丸 圓朝怪談噺の通し口演で「真景累ヶ淵」「怪談牡丹燈籠」をすでに語り終え、最後の傑作「怪談乳房榎」(2007年8月国立演芸場)では、復活部分も含め熱演し、長編ものに巧妙の演出を示すとともに、古典の笑いと説得力を豊かに表現、その話芸は出色であった。
優秀賞 歌謡 いではく 作詞活動を始め35年、「すきま風」「明日の詩」等、優れた楽曲を世に出し、特に「北国の春」の大ヒット曲は日本のみに留まらず、アジア諸国・南米・アフリカまで世界で十億人の愛唱歌といわれ、我が国の歌謡芸能の振興と発展に大きく寄与した。
新人賞 邦楽 山登松和 山田流箏曲の世界では、有能な若い男性の箏曲家たちが力をつけ、中堅として活躍し始めているが、その中でもひときわすぐれた演奏家として活躍している。もともと才能に恵まれ、箏や三味線の演奏も、また山田流箏曲ではとくに重要な歌においても、熱心な修行によって芸を深めており、今後の山田流箏曲を担う重要な存在になっている。
新人賞 舞踊 藤間万惠 日本舞踊藤間流の若手女流舞踊家として、近年活躍が目覚ましいが、2007年11月自己のリサイタルで歌舞伎舞踊に挑戦、女性では至難な「うかれ坊主」と大曲「将門」の滝夜叉姫を演じ、軽妙さと妖麗さを表現、観客を魅了した。
特別賞 演劇 戌井市郎 1937年の文学座創立以来、演出部の中核となって杉村春子主演の「女の一生」「華々しき一族」「華岡青洲の妻」「ふるあめりかに袖はぬらさじ」をはじめとする多くの作品を演出する一方、新派、歌舞伎の演出家としても活躍、新旧の演劇に橋を架ける役割を果たし、90歳を超える今も優れた舞台を作り続けている。
功労賞 舞踊 井上かづ子 井上政枝    京舞井上流の四世八千代の門下として活躍し、さらに当代五世家元を補佐して門流の地固めと発展に大きく寄与している。井上かづ子・井上政枝の名は、流儀の出色として早くから注目され、また、流儀をささえる名コンビとしての世評も高く、品格のある舞の名手として活躍してきた。二人の存在は、京舞のみならず、広くは日本舞踊界にとって貴重である。