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小鼓の音がちがう

乾燥していた冬が終わり4月に入って急に湿度が高い日が多くなってきました。
松尾塾伝統芸能には、小鼓・締太鼓・三味線など多くの和楽器が置いてあります。和楽器は、桜材・花林・紫壇、皮・絹・麻など自然の素材で作られているものが多く、湿度によって楽器への影響が出ます。

4月の始め、長雨によって三味線の糸巻が固くなり、調弦ができなくなってしまうことがありました。うっかり、楽器を保管している部屋の湿度調整を間違うと楽器の状態が変わりお稽古に響きます。

普段から湿度には気を付けていますが、「小鼓の音がちがう!」冬に比べ湿度が高い日が続いたために小鼓の調(しらべ)と皮に緩みが出ていたのです。演奏者は、楽器の変化に気づき、良い音が出るように自分で調整することも出来なくてはなりません。

藤舎千穂先生が、塾生に小鼓の緩みの治し方をご指導くださいました。

締太鼓

調を締め直し、皮には小さく切った和紙を湿らせて皮の中心に貼り付けます。このようにすると小鼓の音が良くなるのです。
どうしてなのでしょう?
糸の両端を持ち何も通さないで回すと糸は弛んで上手く回りません。しかし、糸に50円玉を通して回すと重りがついたことで糸はしっかり張り、上手く回るようになります。小鼓も和紙が重みとなり皮に張りが出て良い音が出るようになるのです。

50円玉

緩んでいる小鼓を「ぽん」直した小鼓を「ポン」
「皆、違いがわかる?」という千穂先生からの問いかけに「ちがう。ちがう。」と塾生たちの声。

またひとつ、塾生たちは和楽器がとてもデリケートなものであること、そして大切に気を配って扱わなくては良い演奏は出来ないことを学びました。

小鼓1
調