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冬に蚊の大群 / 共に学び 共に励む

師走に入りました。街のイルミネーションが綺麗ですね。そんな冬なのに、松尾塾伝統芸能に蚊の大群が・・!

「ぷーーーーーーーーーーん」 と声をあげ、足はトトーン トトーンと地面を軽くけりながら、袂をはためかせ、講師の内藤連先生は蚊になって、稽古場を飛びまわりました!

(狂言には蚊の精が出てくる「蚊相撲」という演目があるそうです。 昔の方の発想には本当に度肝を抜かれてしまいます。)

今回の松尾塾伝統芸能は狂言が2コマありました。担当の内藤連先生は、いつも塾生を楽しませながらメリハリのあるお稽古をつけてくださいます。

冬の真っ只中に、蚊の大群が!

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塾生も、見ている側も、本当に楽しい稽古でした。狂言が「笑いの芸術」と呼ばれることが分かった気がします。

しかし、楽しいばかりが稽古ではありません。基礎もしっかり学びます。今回、「痺」を初めて所作付きで学びました。能舞台の四隅に柱があることは多くの方がご存知だと思います。そこで、柱がある位置に座布団をおいて舞台にみたて、「痺」の主人と太郎冠者になって、台詞を言いながら動いてみました。

舞台の構造や名前、動くときは必ず「左足から動いて右足で止まる」など初めてのことばかりでしたが、内藤先生は様々なことを塾生に分かりやすく教えてくださいました。

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今まで正座でお稽古をしていた時よりも、ずっと生き生きとしていましたね!

その後、野村万作先生、野村萬斎先生が演じる「痺」のDVDをみんなで観ました!実際に稽古している「痺」を映像で観ることで、イメージが湧いた塾生が多かったようです。立ち姿、すり足、言葉の抑揚など学ぶことが沢山ありました。

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 狂言が終わったあとは、東音布施田千郁先生の長唄、そして三味線のグループ稽古でした。千郁先生にしっかり教わった後、高学年と低学年の子が2人1組になって教えあうという、こちらも初めての試みです。

 今回は構えたまま調弦するということから始まりました。途中で弦が緩んでしまい、もう一度まわし直すという人も見られました。「さくら さくら」は随分上達したのですが、楽器の扱いにまず慣れないといいけないのが今の課題でしょうか。

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グループ稽古に入ると、稽古の成果を塾長先生に聞いていただくため、取り組み開始からどのグループも必死でした!

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 保護者の方も拍子をとるなど、協力してくださいました。

そして、いよいよ塾長先生の前で成果をお披露目しました。2人1組のため、弾けないとすぐに分かってしまいます。しかし、塾長先生は「慌てなくていいから、唄いながらやってごらんなさい」と稽古の成果を聴いてくださいました。終了した直後に、「低学年の塾生が弾けなかったのは、ちゃんと教えられなかった自分のせいだ」と泣き出す高学年の塾生も居ましたが、それだけ真剣に、一生懸命やっていたから悔しかったのですね。

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 グループ稽古のあとに塾長先生は、

「はじめてのグループ稽古でしたが、大きい学年の方は小さい子をよくみてくれたと思います。教えることはとても難しいことだと分かったと思います。何故なら、自分に厳しく、きちんとしていないと出来ないことだからです。皆さんを教えてくださっている先生方が、どんなに事前に準備をされておられるのかが分かったのではないでしょうか。それを理解し、感謝の気持ちを持って教われば、稽古中にだらだらしたり、遊んだりすることがなくなると思います。本日得られた経験を、是非忘れないでください」と、締めくくられました。

― 共に学び、共に励む。松尾塾伝統芸能は、松尾塾子供歌舞伎の時からの伝統である、「自らが入塾当時から先輩に面倒をみてもらった実体験で自然と思いやりをもって後輩の世話をするようになる」を取り入れ、これからも感性を磨き、技を身につけていきます。