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お役をしっかり理解し挑む

ついに狂言公演まで2日を切りました。
先日、よいや舞台をお借りして、装束合せとお稽古をさせて頂きました。
普段の稽古場と違い、能舞台を使っての稽古となり、緊張で心なしかいつもより声が小さくなってしまう塾生もいました。
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今回、塾生達は4つの狂言に挑戦します。
これまでの公演でも演じてきた「痺」「柿山伏」「附子」そして松尾塾では初演となる「茶壺」です。

11431「痺」
『痺』とは「しびれ」の事をさすお話。
太郎冠者は主人に買物を言いつけられ、行きたくないので持病のしびりが起こって歩けないと仮病を使います。嘘と見抜いた主人は、一計を案じ、「伯父からご馳走の誘いがあるが、その様子では連れて行けまい。」と言いますが、ご馳走が食べたい太郎冠者は慌てて、自分がしびりに言い聞かせると治ると言い訳し、、、
嘘に嘘を重ねるとどうなるか?という教訓が分かるお話となります。

11292「柿山伏」
『柿山伏』に登場するのは山伏と畑主。
山伏とは修験道の行者で、山岳で修行することによって超自然的な力を体得し、その力を用いて呪術修行を行い、悪霊を退治する者をいいます。
ですが、狂言に出てくる山伏の多くは、その力を逆手にとり偉ぶった態度をとる者として描かれています。そのくせ病気を治そうと術をかけるもののうまくゆかず、より事態を悪くしたり、横暴さゆえに自分の周囲の人々にやりこめられたりします。
「柿山伏」に登場する山伏は、道端に見つけた柿の木の実を取ろうとしますが、あの手この手を使っても手は届かず、とうとう柿の木に登って食べ始めると、ちょうど見回りに来た畑主に見つけられてしまいます。腹を立てた畑主は、木陰に隠れた山伏をからかいます。あれは犬だ、猿だといわれる度に山伏は必死に物真似でごまかそうとしますが、ついには空を飛ぶ鳶だといわれ…
法力を身につけたはずの山伏が、自らの浅ましい行いのせいで、畑の主に散々からかわれたうえに、痛い目に遭わされます。

11301「附子」
11304「附子」
『附子(ぶす)』というのはトリカブト属の一種で日本三大有毒植物の一つとされます。
そんな猛毒が桶の中に入っているので決して近づかないようにと言い残し、主人は太郎冠者と次郎冠者に留守番を言いつけます。しかし附子とは一体どういうものなのか、気になって仕方がない二人は、恐る恐る様子を探ると、中身の正体は実は砂糖!
二人は夢中になって全部食べてしまいます。言い訳の方法を考え二人が選択した行動とは…
一休さんの頓知ばなしとしても登場する有名な狂言となります。

11430「茶壷」
『茶壺』には、すっぱ・中国の者(中国地方の人)・目代3人が登場します。
すっぱとは詐欺師の事で、狂言ではすっぱが田舎者を言葉巧みに騙し、金銭などを盗み取る話がいくつかあります。
「茶壺」では酒に酔った中国の者が茶壺を背負ったまま街道で寝てしまい、そこに通りかかったすっぱが茶壺を盗もうとします。さも自分が茶壺を背負っていたかのように見せかけて背中合わせに横たわり、目が覚めた中国の者とすっぱがそれぞれに茶壺は自分の物だと言い争うところへ、目代(代官)が通りかかり、二人の言い分を聞くのですが、、、中国の者が茶の産地や商品明細について謡い舞いながら説明すると,すっぱも盗み聞きして同じように答えます。
茶壺は果たしてどちらが手にするのか!
1期生として一緒に稽古に励んできた塾生2人がすっぱと中国の者を演じます。息のあった掛け合いもお楽しみください。

「痺」を演じるのは狂言初挑戦の小学5年生・3年生です。
稽古当初は聞こえないぐらい声が小さかったですが、段々と声が出るようになってきました。
また、1・2期生達が演じる「柿山伏」「附子」「茶壺」もこれまで5年間積み重ねてきた稽古の成果をぶつけ、本番ではお役の人物になりきり、客席の後ろまで届くような大きな声で演じてもらいたいです。