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第17回松尾芸能賞


大賞 演劇 片岡孝夫 「菅原伝授手習鑑」(歌舞伎座3月)において菅丞相を演じ、亡父十三代目片岡仁左衛門の名演を見事に継承した。また、「伊勢音頭」(歌舞伎座6月)の福岡貢などで上方系の演技に充実を示して歌舞伎・立役の本領を発揮した。今後への期待を更に高めたことは評価される。
優秀賞 能楽 大槻文蔵 大槻能楽堂はいま大阪で能公演の最も活発な拠点になっている。主宰者の大槻文蔵氏は、品格ある観世流シテ方としてその力量は高く評価を得ているが、同時に流派を越えたその構成力・企画力も注目されている。1995年は4月から11月にかけて源氏物語をテーマに「住吉詣」「葵上」「半蔀」「浮舟」「野宮」「落葉」の六曲を、それぞれ能に詳しい識者の解説をつけて公演。また、夏のろうそく能は、復曲された名曲をそれぞれ一番ずつ四夜にわたってシリーズで見せた。その他、8月を除く毎月、自主公演を開き、能の普及活動に効果をあげている。
優秀賞 邦楽 藤舎名生 六歳より横笛の道に専念、前名推峰から藤舎名生と改名して八年、近年いよいよ音色の冴えを示している。ブラジル公演、三越名人会の親子共演、異色音楽家との共演、歌舞伎・舞踊会の舞台など、昨年の古典から創作、実験の幅広い演奏は充実に裏付けられたもので、高く評価される。
優秀賞 テレビ 岡崎 栄 NHKにあって、テレビ創世記から第一線のディレクターとして数々の作品を発表し、「遺書配達人」「マリコ」「エトロフ遙かなり」などの重厚なドラマを演出した。特に放送70年記念番組「大地の子」は2年の歳月をかけて脚本も手がけ、大規模な現地ロケーションを実施し、スケールの大きいテレビドラマとして、大きな反響を呼び、内外の賞を独占した。
優秀賞 テレビ 中村梅雀 NHK大河ドラマ「吉宗」において、第九代将軍家重の、困難な人物設定を見事に造型化して新鮮かつ迫力ある演技で魅了せしめたことは、高く評価されている。これは劇団前進座などにおける長年の習練、実績が結実した証左であり、今後の活躍も期待される。
特別賞 演劇 河原崎権十郎 豊富な経験と的確な演技により、年間を通して多くの重要な立役・敵役に華のある技倆を示した。数多くの主役の経験から産み出された役は位取りが大きく、特に「菅原伝授手習鑑」の「車引」での時平は高く評価される。
特別賞 歌謡 白鳥園枝 30年に及ぶ作詞活動の中でも「星影のワルツ」の大ヒットは日本のみにとどまらず「星夜的別離」として台湾から東南アジア圏にかけて多くの人々に愛唱されており、日本の歌謡を海外に広めた功績は極めて大である。また、近年では博多シリーズ三部作がヒットするなど女性作詞家としての活躍もめざましい。
功労賞 舞台技術 釘町久磨次 若くして舞台美術家として活動を開始し、舞台装置の原画を戯曲の意図に即して的確に描き出し、長年に亘る研鑚の成果が充分に発揮されたものとして高く評価されている。年間を通じ舞台美術家として活躍は顕著であり、歌舞伎をはじめ文楽・舞踊等の復活上演に際しては伝統を正しく継承しながら常に清新な現代的感性にあふれる舞台を創り出し、そのドラマ性を一段と高めることに成功している。同時に狂言の復活上演、後進の指導の功績は極めて大である。
新人賞 演劇 市川染五郎 次世代のホープとして早くから注目され、此の一年は「縮屋新助」「鏡獅子」などの歌舞伎の他、現代劇やテレビ・ドラマにも優れた演技を示した。高麗屋の進取に満ちた芸風は、特に「アマデウス」のモーツァルト役で大きく開花した。
新人賞 邦楽 友渕のりえ 箏、三味線とともに特に日本の表現に極めて意欲的に研究を重ねてきたが、平成7年度文化庁芸術祭における宮下伸作曲「南島」及び、19回友渕のりえリサイタルにおける肥後一郎作曲の「巫女譜(かうなぎのうた)」では、作品の意図を大胆に表現して多くの人々の感動を与え、沈滞した箏歌に新生面を開き、日本の歌の可能性を大きく広げた。
新人賞 舞踊 藤間蘭黄 藤間勘八・藤子・蘭景・蘭黄と、四代にわたる舞踊の家にあって優れた素質を磨き、特に昨年は曾祖母から伝わる藤間流の古い演目「鹿島の事觸れ」「海女」の立役と女形に、また素踊り「梅の春」に節目正しくのびやかな技芸を見せ、さらに「かさね」の与右衛門、「船弁慶」の弁慶の大役に頼もしい力を示してくれた。将来性豊かな若手として高く評価される。
研修助成 演劇 名古屋むすめ歌舞伎 昭和58年発足以来、地元の名古屋において営々と研鑽を重ねてきたが、第50回芸術祭主催公演「一谷嫩軍記」(国立小劇場11月)の好演によって努力の結実を示した。今後の一層の発展を期待するとともに、更なる充実に向けての飛躍を奨励したい。